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割と内容に偏りがある日々の記録。 自由気ままに好きなこと綴ってます。 何もないところですがごゆっくりどうぞ。
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遅くなりましたが、前に言ってた熱斗の転校ネタがようやく完成しました。


桜をテーマにしている以上4月中には!!と思っていたので、なんとか間にあってよかったよかった。


何年かぶりに長いお話打ってて楽しかったけど、やっぱ文才がー…。
美しい情景描写とか心理描写ってどうやって書けばいいんですかね。



とりあえず、持てる力を出しきったので、少しでもお楽しみいただければ幸いです。


~桜舞い散る春の日に~





白い白い羽のように、ふわりと桜の花びらが舞っている。
例年より早く咲いた桜たちは、まるで誰かを見送るかのように、並木道にアーチを描いている。


3月の終わりの日曜日、暖かく晴れたこの日、一つの家族が秋原町を離れることになった。


車の窓から、住み慣れた家がどんどん小さくなっていくのを見届けると、その家族の一人、光熱斗は、ふぅと一息ついてぼんやりと外を眺めていた。








『…くん…、熱斗くん?』

熱斗は、PETの中にいるネットナビ、ロックマンの声に気づく。

「なんだ?」











科学者である父親の、急な転勤。
いつも家にいない父親が、ある日早く帰ってきたかと思えば、ひどくすまなさそうな顔で熱斗に謝った。


最初は何かの冗談だと思った。
目の前が真っ白になったかと思えば、脳裏に友達の顔が次々に浮かんでは消えていき、すぐには現実を受け止められなかった。


(パパが悪いんじゃない、仕事の都合だもん、仕方ないよな…)


そう己に言い聞かせながら、熱斗は明るく振る舞い、父親を責めることも泣きわめくこともしなかった。







熱斗は、学校でも決して寂しそうな顔は見せず、いつも笑顔だった。

そして今日、家まで見送りに来てくれた友人たちを前にしてもなお、熱斗は最後の最後まで笑っていた。



しかしロックマンは知っていた。
熱斗が何度も、友達に打ち明けようとしていたのに、タイミングを逃して結局まりこ先生に言われるまでずっと話せなかったことを。


深夜、もうとっくに寝静まったはずの熱斗のベッドから、すすり泣くような音がするのを。


明け方に突然、部屋からいなくなったと思ったら、ベランダに出てはるか遠くの景色を寂しそうに眺めているのを。



(熱斗くん…、ホントはつらいんだよね。でも、もう我慢しなくていいんだよ?まわりに気を使わなくたって、悲しいときは悲しいって言っていいんだよ?)


何度、そう声をかけようと思ったことだろう。


だが、そうすることはロックマンにはできなかった。





ロックマンは熱斗とは違いネットナビだ。

例えオペレーター同士が離れた場所にいようと、ネットナビというのは、電脳世界にプラグインさえすれば、いつだってすぐに親しい仲間に会いに行ける。

最近はワープホールも自由に行き来できるようになったため、海外のネットナビとでも、簡単に会いに行けるようになった。



そんな中で、どうやって励ませばいいのかわからない。
下手に慰めて、「おまえになにがわかる」と言われてしまえば、返す言葉がないからだ。




人と人との別れは残酷なものである。
例え口では毎日メールする、また遊ぼうな、と言っていても、通う学校が違えばその頻度も、毎日顔を会わせていたころに比べれば下がるものだ。

公園で気のおけない仲間とサッカーをしたり、同じ学校で同じ勉強をして、給食の奪い合いをしたりすることもなくなる。


「オレはいつか、この秋原町に帰ってくるぜ!」


さっき熱斗がみんなの前で言った言葉が、ロックマンの頭の中でよみがえる。
元気いっぱいのそのセリフすら、もしかしたら精一杯の強がりだったのかもしれない。


そして、最後の別れの挨拶すら涙を見せなかった熱斗に、ロックマンはついに言葉をかけた。



『熱斗くん、ホントは寂しいんでしょ…?』



熱斗が驚いた顔でPETに目を向けると、心配そうな顔がこちらを見ていた。


その顔を、安心させてやらなければと思ったのか、熱斗はあわてて一気にまくしたてる。


「だっ、大丈夫さ、オレなら平気!みんなが来てくれて嬉しかったし、何も秋原にいるやつらだけが友達ってわけじゃねーしな!次の学校でだって、友達100人ぐらいあっと言う間に作ってみせるぜ?もう、みんなやんなっちゃうよなー。あんな今生の別れみたいなカオしてさー。大体同じニホンにすんでるんだから、会おうと思えばすぐ会えるんだっ…」

『熱斗。』

たまらず、体の内側から、振り絞るように放たれた声。



ふいに熱斗は魔法にでもかかったかのように、動けなくなる。



声の主はゆっくりと、静かに言葉を続ける。



『熱斗は強いけど、ボクはちゃんと知ってる。本当は誰よりも友達思いで、誰よりも仲間との絆を大切にするって。…ねぇ、熱斗。つらいときには泣いたっていいんだよ?泣いても決して弱くなんてない。強がる必要なんてない。もっと…、もっと自分に正直になりなよ?』



その瞬間、熱斗の体に温かい光が降り注いだ気がした。

彼は確かにPETの中にいるはずなのに、なぜか背中を支えてもらっているような感覚。



「にい…さん…」


その言葉を境に、熱斗は緊張の糸が切れたかのようにPETを抱きしめた。
液晶の中の彼に、顔を見られないように。


その彼はというと、急に暗くなった視界から、小さく嗚咽が聞こえるのを確認すると、『がんばったね…』と、聞こえるか聞こえないかぐらいの声でささやいたのだった。


















『…落ち着いた?』

「ああ、もう平気さ。なんかすっきりした!」


屈託のない笑顔を見てホッとしながら、ロックマンは熱斗越しに、外の桜の木に目が止まった。


その視線を感じて熱斗も外の風景に目を止める。

ちょうど秋原町にあったのと同じ並木道。

開いたままのウインドウから、花びらが1枚、2枚と舞い込んでくる。


「せっかくきれいに咲いても、すぐ散ってしまうんだよな。いつまでもずっと、咲いてたらいいのに。」



その言葉に込められた意味を察してロックマンは言う。

『でも、桜は必ず毎年咲いてくれる。どんなに散ってしまっても、また同じ場所に戻ってくるんだよ。』




「オレはいつか、この秋原町に帰ってくる…か…」



自分が言った言葉を思い出しながら、小さくつぶやいてみる。


『えっ、なに?』

「なんでもない!なんかさ、桜ってロックマンみたいだよな。」

『ボクが?』

「そこに立っているだけで、見る人を幸せな気分にしてくれる…、みんなの心を癒してくれる。桜はさ、毎年咲くことを絶対あきらめてないんだよな。」

『熱斗くん…』


「うし!もううじうじするのはこれでおわり!次の街へ行ったら、オレたっくさん友達作るんだ!ネットバトルの腕も磨いて、デカオたちをあっと言わせてやるぜ!」


『その意気だよ、熱斗くん!サイバシティは科学技術の最先端を誇る街だから、きっと強いネットバトラーやネットナビがたくさんいるよ。』


「ああ、負けてらんないな。頑張ろうぜ、ロックマン!」

『うん!』




桜が、すべての悲しみをその花びらとともに流してくれる、きっと。
そしてまた、来年笑顔で会えるように。


―――桜ってロックマンみたいだよな―――



(それを言うなら、ボクにとっての桜は君なんだよ…熱斗くん…)



PET画面の向こうに降る桜の花びらに、ロックマンはそっと手をのばした。




fin.



*******************************



でも自分的には、熱斗はひまわりなイメージです。

ロック(彩斗)は桜か、紫陽花か、ヘブンリーブルー。(おまえそれ言うの何度目だよ)

「声の主」って書いてますけど、ロックと彩斗は同じ声だと思ってます。
ただ、しゃべり方がロックのほうが若干優しく、彩斗のほうがやや凛とした感じで。
なので彩斗はロックよりちょい声のトーンが落ちついてるイメージ。(熱斗と彩斗が会話するシーンて、大体シリアスな場面なんでそれぐらいでちょうどいいかと)


5DSのロックとOSSのロックを比べると、5DSの方がやや高めでテンションも高い気がするんですが、あれぐらいの差でいいかなと。



しかしロックて、本当に思いやりと博愛精神にあふれたナビだなぁと思うわけですよ。

友達が泣いているときは、黙ってじっとそばにいるタイプだと思う。

逆に熱斗は、相手が話してくれるのを待ってらんなくて、だー!もうなにがあったのか言ってくんないとわかんねーよ!ってしびれを切らすタイプだと思う(笑)


ロックはきっと、人一倍繊細なココロを持っていて、とても真面目で優しいから、熱斗の痛みもつらさも苦しみも、みんなみんな受け止めちゃうんですねぇ。あんま無理すんなよ、ロックマン…。

え?彩斗兄さんはこんなところで出ないだろうって?
いーじゃないですかたまにはクライマックス以外でも!(笑)


バトルチップGPみたいに、なにげない日常会話の中で、さりげなく彩斗モードにスイッチするロックは良いですね…(涙)そこで出るの反則うううー!みたいな。




前にも言ったと思いますが、自分は熱斗と全く同じ境遇だったので、この時期の転校がどれだけ別れがつらいのかっていうのがよくわかります。


でも自分は熱斗みたいにものわかりよくないので、最後までかっこわるくあがきましたけどね。
どうやったらこの地にとどまれるんだろうと子供ながらにいろいろ考えて(苦笑)


転校するとき、転入するときの挨拶とか心臓バクバクですよ。
もうなにしゃべったらいいのかわかんなくて。


だから熱斗が才葉学園で必死になじもうとしていた姿に、やけに共感しました。


自分にもロックがいてくれたら、どんなに心強かっただろう(笑)


挿し絵がラフで申し訳ありません。m(_ _)m
ここまで長々と読んでくださり、ありがとうございました!



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